訪問看護

みんな知らない!?訪問看護のこと
ROBE-LOG(ローブログ)

訪問看護に関することなら、なんでも発信!
訪問看護の勉強したい方も、訪問看護について
全く知らない方にも読みやすくしています!

知らないと危ない!?フレイル・サルコペニアとは?

前回のブログで“高齢者とフレイル”についてお伝えしました。その回でサルコペニアについても述べたのですが、この回ではフレイル・サルコペニアの予防・対策についてお伝えします。

まずは簡単におさらいです。

「フレイル」は、加齢に伴う様々な機能低下(予備力の低下)をもとに種々の健康障害(日常生活動作の低下、転倒、独居困難など)に陥りやすくなった状態であり、要介護状態と健康との間の中間的な状態と言えます。身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居による孤立や経済的困窮などの社会的問題も含め、高齢者の問題を包括的に広くとらえたものです。

そして、「サルコペニア」は、主に加齢による筋肉量の減少および筋力の低下した状態と定義されており、加齢以外に原因がない場合を「加齢性サルコペニア(一次性)」といい、寝たきり、不活発な生活習慣、炎症性疾患や臓器不全に由来する場合、消化不良や薬剤使用に伴う食欲不振から起こる場合などは「二次性のサルコペニア」とお伝えしました。

では本題です。

目次

負のスパイラルから要介護へ

さまざまな要因から、フレイル・サルコペニアの状態に陥るのですが、些細なことがきっかけで起こります。

それは、単純に「加齢」や、「歯が抜けてしまった」「風邪をひいて数日寝込んでしまった」など。今まではすぐにリカバリーできていたものができなくなってしまいます。

歯が抜けただけで?と思うかもしれませんが、歯が抜けることで食習慣に変化が起こります。また、自分の歯がどれだけ残っているかで認知機能にも影響するのです。(これに関しては、オーラルケアの特集で詳しくお伝えします)

小さな変化が、負のスパイラルに迷い込み、そのまま要介護状態へまっしぐら。。。こんな事にならないように、ご自身で意識をしたり、家族が早く異変に気付き予防・対策を講じる必要があります。

フレイル・サルコペニアを予防する4本の柱

 

・食事(栄養) ・運動 ・歯の健康 ・社会参加

食事(栄養)

フレイル予防の食事で大切なことは低栄養による「やせ」を防ぐことです。

高齢者の食事の特徴は炭水化物中心の食生活で、手軽に食べられるパンや麺類、お茶漬けなどで済ませてしまう傾向があります。これは嚙む力衰えてくることや、自分の歯が減る差し歯、入れ歯になり繊維質な野菜や肉が食べられなくなること、さらに調理が簡単、調理せずに食べられると言った簡便性も理由になっています。

そのためタンパク質やビタミン・ミネラル、食物繊維など必要な栄養素が不足してしまいます。若年者に比べ活動量が減るため総摂取カロリーが減ることは問題ないのですが、必要な栄養素は摂る必要はあります。

骨の形成を助ける「カルシウム」、カルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」
筋肉を生成する「タンパク質」、筋肉の合成を助ける、これまた「ビタミンD」
疲労回復や代謝を助け、脳を活性化させる「ビタミン」「ミネラル」
・栄養素にはそれぞれ役割があり、バランスをとりながら体の中で役割を果たしています。

活動量が減ったからと言って「簡素」で良いということではないのです。

「やせ」を防ぎ健康を維持するために、タンパク質を十分に摂り、主食・主菜・副菜といったバランスの良い食事を摂ることが大切です。

運動

運動不足は、虚血性心疾患、脳梗塞、糖尿病など生活習慣病のリスクを高めます。また、筋肉は使わなければ減少していくため、必然的にやせてしまい活気がなくなるなど生活自体に張りがなくなります。外出頻度も減少し社会参加の機会も減少します。

運動を行う効果は、筋肉量の維持し、全身の血流が改善し循環がよくなり、内臓の働きが良くなるうえ、活動性が高まり社会参加の機会が増え、食欲の増進も期待できます。

歯の健康

口腔機能への関心の低下や歯磨きが十分でないなどから、むし歯や歯周病が進行し痛みが出たり、歯が抜けてしまったりします。口腔機能が低下すると、食事や会話に支障が出ます。

食事が楽しめない、食べたいものが食べられない、また口臭が気になるなど会話の機会がり活動範囲が狭くなり社会参加への機会が減ります。

食べる量が減れば低栄養に陥り筋肉が減少し、会話が減れば社会的な孤立につながります。
これらを予防するためにも定期的に歯科受診をすることで、口腔機能への関心を維持する必要があります。

社会参加

社会とのつながりはフレイルや認知症のリスクを下げると言われています。他者とのコミュニケーションはさまざまな刺激を受けることができます。運動を継続していくにも一人よりは一緒に頑張る仲間の存在がモチベーションの維持につながり、誰かと一緒に食事をすることは一人で食べる(孤食)より何倍も美味しく感じ、食欲も増すでしょう。

また外出するために歯磨きをして身なりを整えるなど自分に無関心ということがなくなります。他者や社会に興味を持つことは意欲低下を防ぎ活動的な生活を送る活力になります。

定期的な友人との交流は絆を深め、お互いに刺激を与え、困ったときに互いに助け合う存在になり、孤立を防ぐことができます。

まとめ

 

予防する4本の柱として個別に説明しましたが、切り離して考えることのできない項目ばかりです。いずれもフレイルサイクルに関連しており、まんべんなく予防する必要があります。フレイルサイクルに迷い込むのは些細なことがきっかけであることが多いのですが、意識することで抜け出せます。フレイルは“健康な状態と要介護の間の状態”であり、対策さえすれば健康な状態に戻れる可逆的なものなのです。

フレイルサイクルに迷い込まないように日常から予防し、もし迷い込んでしまってもすぐに対策し健康な毎日を取り戻しましょう。