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話題のQOD(死の質)とは!QOL(生活の質)との違いは!?その②

前回のブログからの続きです。

先日、小川糸さん著の「ライオンのおやつ」を読みました。

ある女性の終末期の物語です。自分は最期をどう迎えたいのかを考え、とあるホスピスで最期を迎えようと決め、そこで知り合ったスタッフや終末期の方々から新たな学びを得て、死への恐怖を払拭していく。そして最高の死を迎えるというお話でした。この本を読み、改めてQOLとQOD(生活の質と死の質)について考える機会をいただき、前回の回で「QOL」について触れましたが、今回は「QOD」について考えてみたいと思います。

目次

QOD(死の質)

 

QODはあまり耳にしないかもしれません。「Quality of Death(クオリティ・オブ・デス)」の略称で、「good death(よい死)」と表現されることもあります。死の在り方、死にゆく過程における全般的な質を意味し、いかに満足して死を迎えるか、という死の質を表す概念です。

日本人の死生観に対する変化

 

日本人はあまり「死」について語り合わないかもしれませんね。「死を口にするのは縁起でもないこと」のようにタブーなものとして「死」を口にするのを避ける風潮があるように感じます。漠然と「恐怖」としてとらえている方、「あの世」と表現され良い印象がない方も多いでしょう。

しかし、寿命が長くなり人生100年時代と言われるようになった今、それぞれの人生の終焉をどのように迎えるかが問われる時代になりました。

・自宅で最期を迎えたい方

2018年の「人生の最終段階における医療に関する意識調査」によると、7割の方が「住み慣れた自宅」を希望しています。しかしながら2021年の人口動態調査では実際に自宅で亡くなる方の割合は17%で、病院で亡くなる方は66%となっています。希望と現実の間にギャップがあることがわかります。

ご自身の希望を現実なものにするために、前もって意思を提示し、それに向けて準備する必要があるのではないでしょうか。自身や家族、医療・介護関係者と話し合う必要性が高まっていると思います。

・終活ブーム

「終活」、この言葉はいつ頃から聞かれるようになったかと言うと2009年ころからです。「終活」とは、「自らの人生の終わりに向けた活動」を意味します。2012年には流行語大賞トップ10に選出されたほどで、このブームのおかげで、“自分が望む死に方“を考える方や家族に迷惑をかけないようにと生前整理をしたり、エンディングノートを活用される方などが増えたと思います。
親が死んだ後の話、ましてや義理の親の話なんてもってのほか!という風潮から、一緒に考えることに抵抗がなくなり子供として、嫁として気持ちが楽になった方も多いのではないでしょうか。

私事ではありますが、私は3人姉妹で全員嫁に出ました。両親は墓を守っていく子供に迷惑をかけられないと“墓じまい“をして永代供養の申し込みをしました。もちろん事後報告。。。先に相談があっても良かったとは思いますが、今は両親の潔さに感謝しています。

亡くなった後のことを考えることも終活ですが、最期をどう迎えるのか、どこで、誰と迎えたいのか。治療はどこまで希望しているのかなど気持ちを整理しておくといいと思います。気持ちは変化します。一度書いたからと言って変更できないと言うことはないので、その時その時の気持ちを大切に、家族を巻き込みながら終活ができると良いのではないでしょうか。

・「健康寿命」と「人生100年時代」

健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。2019年の日本人の“平均寿命”は男性81.41年、女性87.45年ですが、“健康寿命”は男性72.68歳、女性は75.38歳です。
これが何を意味するかというと、平均寿命から健康寿命をひいた期間、男性は約9年、女性は約12年の間、健康でない期間があるということになります。今後も平均寿命は延び2065年には男性84.95年、女性は91.35年になると見込まれています。

この先人生100年時代が当たり前になると考えられており、“ピンピンコロリ“(健康寿命の長さを言い表した表現)を目標に多くの方は自分のことは自分でできるくらいは健康を保っていたいと望まれているのではないでしょうか。

訪問看護師として

 

「よい死」とは、死への準備が整い、人生をまっとうしたという気持ちに満たされながら死を迎えることができる状態なのではないでしょうか。また、どう死にたいかを自分で選択できると言うことでもあると思います。

そして残される者、家族にも安らぎがもたらされるような死であることも大切なことだと思っています。

訪問看護師として、利用者さんの人生の最終段階をどう支えられるかはとても重要だと思っています。利用者さんの長い人生の最期の一幕にしか関わらない看護師が、本人や家族が後悔のないような支援をどうできるのか。最期穏やかに旅立たれ、それを家族が笑顔で送る。

本人家族の価値観はさまざまです。家族同士でも価値観が異なります。

マニュアルはなく、決まり事もない。この中でどう支援できるのかが問われていると思っています。